これが私たちの法城です!

2013年4月13日(土)更新:4
【新・人間革命 勇将 五十二】
 山本伸一は、明日香文化会館の設計段階から何度も報告を受け、相談にものってきた。
 彼は、日本を代表する仏教建築も多く、他教団の本部等もある奈良県の中心会館は、学会員が「これが私たちの法城です!」と、誇らかに胸を張れるものにしなければならないと考えてきた。だから、近代的でありながらも、風格のある建物にするよう、さまざまなアドバイスを重ねてきたのである。
 伸一は、館内に入った。ドアの取っ手は「勾玉(まがたま)」の形をしており、大広間の襖は銅板で、天井も美しい格子模様である。また、柱にもゆるやかな膨らみがあり、手の込んだ造りになっていた。
 彼の奈良訪問は、二年ぶりであった。
 午後六時前から二階の広間で代表幹部と懇談したあと、文化会館の各部屋や庭を回り、役員らに言葉をかけていった。
 さらに、奈良県の新出発となる明日の県幹部会を記念して、支部長らに贈るために、句などを認めた。
 「ついに見る 朝日の支部を 祝賀せむ」
 「真剣の 二字を心に 慈悲の指揮」
 翌二十五日、伸一は、明日香村など周辺地域を視察した。
 聖徳太子誕生の地に建立されたという橘寺(たちばなでら)を経て、石舞台(いしぶたい)古墳や、蘇我馬子によって創建された最初の本格的寺院といわれる飛鳥寺を通り、高松塚古墳などを回った。
 彼は、車中、窓外(そうがい)に目を向け、地域の繁栄を願い、大地に、草木の一本一本に、題目を染み込ませる思いで、唱題を続けた。
 蘇我氏聖徳太子らによって、仏教がこの地に興隆し、仏教文化が開花してから、千三百年余の歳月が流れた。今、その仏教は、いにしえの繁栄を伝える遺跡や伽藍(がらん)はあっても、生き生きとした精神は失われて久しい。
 伸一は、深く思った。
 ”奈良県創価学会には、この地に真実の仏法の力をもって新しい人間文化を創造し、社会の融和と繁栄を築き上げる使命がある。仏法興隆の新時代の幕を開くのだ!”
   (聖教新聞 2013-04-13)