地域を大切にする心には信頼と友情の花が咲き薫る

2013年4月24日(水)更新:4
【名字の言】
 東京の北区と板橋区の境にある都立浮間(うきま)公園。その一角の「浮間ケ原桜草圃場(さくらそうほじょう)」で恒例の「さくら草祭り」が開催中だ。名前のように花の形は桜に似て小さく、かれん。背丈は10センチを超えるほどで、ピンクや赤、白の桜草が、じゅうたんのように広がる▼北区の浮間地域はかつて桜草の群生地だった。「この地のシンボルだから未来に残したい」と丹精込めるのは、50年以上の歴史を誇る地元の桜草保存会の皆さん。夏の炎天下の草取りや、冬に行う芽分けの作業などは特に体にこたえるそうだが、孫のようなかわいい花が咲くと苦労も吹き飛ぶという▼近隣の小学校では、全校生徒が一人一鉢の桜草を栽培。6年生が育てた鉢は、新入学の1年生に贈られる。別の小学校では、5年生が桜草を育て、卒業しゆく6年生にプレゼントする。春を告げる郷土の花作りを通した、素晴らしい人間教育の営みに感嘆するばかりだ▼仏法では、人間の住む娑婆世界がそのまま寂光土であると説く。「どこか遠くに理想の国土があるのではない。自分の地域は、一切の責任を持って守っていく。わが地域に根を張っていくことだ」と池田名誉会長▼“無上の宝”は、私たちの足元に。地域を大切にする心には信頼と友情の花が咲き薫る。(進)
   (聖教新聞 2013-04-21)