ひったくり被害に細心の注意を

2013年5月27日(月)更新:6
【社説】
 ひったくりの被害が後を絶たない。薄着になるこれからの季節は、上着やコートに分散していた貴重品類もバッグに収めるケースが増えるので注意が必要だ。
 都道府県別のひったくり認知件数は大阪、埼玉、千葉、神奈川、東京などが上位に並ぶ。昨年上半期の統計(警察庁)によれば、発生時間は午後8時から同10時が最も多い。被害者は91%が女性で、そのうち60歳以上が36・4%を占める。
 愛知県警が呼び掛けてきた取り組みに「3B+N作戦」がある。

〈バッグは斜めにかける〉
 (1)BAG(カバン)の持ち方を工夫する。車道と反対側の手に持って、ショルダーバッグも斜めに掛ける。(2)BACK(後方)を警戒する。道で時々、後ろを振り返りながら警戒の姿勢を示す。携帯電話の通話やメール操作をしながら歩く人は狙われやすい。(3)BIKE(バイク)に注意する。オートバイや自転車を使った犯行が多いので、その音や気配を察知する。「N」とはネットのことで、自転車に乗る時は前カゴに防犯ネットを忘れない。自転車被害の約9割が前カゴから奪われている。
 また、ショルダーバッグの斜め掛けが難しい場合は、バッグを持つ腕の脇をぐっと締め、もう片方の手を添えて体に密着させるだけでも効果があるという。
 バッグに入っていたUSBメモリーや書類などから、データが流出する問題も指摘されている。
 最近も大手旅行代理店の女性管理職が、顧客187人分の個人情報の入ったバッグを夜の路上でひったくられた。教員が生徒の情報、病院関係者が患者のデータを携帯し、被害にあったケースもあった。一個人にとどまらず、企業や団体を巻き込む問題にも発展しかねない。

〈重要書類は持ち歩かない〉
 重要なデータや書類は、持ち歩かないことが鉄則である。また不要になったら速やかに廃棄処分にするなど、こまめなデータ管理を心掛けたい。
 ひったくりの被害者に警視庁が聞いたところ、自分が被害にあうと考えたことのなかった人が86・6%にも及んだ。自分も被害者になる可能性があると自覚することが防犯の第一歩にもなろう。
 心に隙をつくってはいけない。御聖訓には「神の護ると申すも人の心つよきによるとみえて候」(御書1186ページ)と仰せである。絶対に事故を起こさないという強い自覚と祈りを忘れず、上半期の活動を勝利していきたい。
   (聖教新聞 2013-05-24)