特に高齢者は注意! 悪質化する詐欺から身を守れ

2013年8月8日(木)更新:5
【社説】
 昨年1年間の被害総額が153億円を超える“振り込め詐欺”。今年1〜5月の被害額は約89億円に上り、被害件数は前年を大幅に上回っている。被害者の約9割は60歳以上の高齢者。最近は振り込みではなく、直接お金を持って来させる手口が半分以上で、警察庁は“母さん助けて詐欺”に呼称を変更した。
 急増しているのが「送り付け商法」。個人宅や職場宛てに注文していない健康食品や書籍などが届き、支払いを要求される。本来、「受取拒否」「受取保留」にすべきケースだ。昨年度、国民生活センターに寄せられた被害相談件数は約1万4千件で、前年度の5倍にもなった。

〈確認前に代金を支払わない〉
 「自分以外の誰かが購入したものかもしれない」と思い込みやすいところが落とし穴だ。少額だったため、代金を立て替えてしまったという人が散見される。中には葬儀の日を狙い、故人が生前に注文したものと思わせて商品を送り付ける卑劣なケースもある。基本的に、注文したことが確認されなければ、代金を支払わないことだ。
 このほか、税金や医療費などの還付金手続きと偽り、ATMを操作させて口座に振り込ませる「還付金詐欺」、融資をするふりをしながら、信用金や保証金と称して個人や企業からお金をだまし取る「保証金詐欺」など、手口はますます複雑化、巧妙化している。  詐欺被害に遭わないためにはどうすればよいか。まずは常に油断を排していくことである。警察庁の調査によれば、高齢被害者の約9割が「詐欺に遭うとは考えもしなかった」と答えている。詐欺犯は被害者の子どもや親族、時には銀行員や市役所の職員をかたって忍び寄る。何かおかしいと感じたら、最寄りの警察窓口や、犯罪被害の未然防止相談ダイヤル「♯9110」などに問い合わせよう。
〈連絡と声掛けの積み重ねで〉
 また、家族間のコミュニケーションを密にしていくことも、被害防止につながる大切な道筋だ。周囲に迷惑が掛かると感じたのか、高齢被害者の約4割は、警察が家族に事情聴取することを拒んでいる。日ごろから頻繁に連絡を取り、近況や健康状態だけでなく、詐欺などの危険についても話し合うようにしよう。住む場所が離れていれば、なおさらである。
 何気ない声の掛け合いも、積み重なれば大きな力を発揮する。真剣な祈りを根本に「前前の用心」(御書1192ページ)を心掛け、有意義な夏を過ごしたい。
  (聖教新聞 2013-08-02)