メッセージ 創価の師弟の熱願を世界へ 世紀へ

2013年8月11日(日)更新:5
【3県平和サミットへの名誉会長のメッセージ 「原水爆禁止宣言」は永遠の原点 核廃絶へ不屈の挑戦を】
 一、地球上から「悲惨」の二字をなくしたい――この創価の師弟の熱願を果たそうと、英知と信念のスクラムを広げゆく、広島、長崎、沖縄の青年部の皆さん、22回目となる「平和サミット」の開催、誠におめでとう!
 暑いなか、本当に本当に、ご苦労様です。
 世界へ、世紀へ、平和の万波を起こすために、若き大情熱を燃え上がらせることほど、尊い青春はありません。主催の広島の皆さんをはじめ、私の誇りの英才たちの、たゆまぬ奮闘を心から讃嘆したい思いでいっぱいです。いつもいつも、ありがとう!
 一、私は現在、世界を代表する平和学者のケビン・クレメンツ博士との新たな連載対談の開始に向けて、準備を進めております。
 国際平和研究学会の事務局長をはじめ、各国の著名な平和研究所の所長を歴任され、不朽の功績を留めてきた、クレメンツ博士の“原点”とは何か。
 それは、博士のお父様の、人生を賭した平和行動にありました。
 第2次世界大戦中、博士の祖国であるニュージーランドにまで戦争の暗雲が及んだ時、お父様は、“悪を悪で倒すことはできない”との信念に基づいて「良心的兵役拒否」を貫き、それゆえに4年間に及ぶ投獄生活を強いられました。戦争が終わってからも、お父様のみならず家族全員が、周囲の冷たい視線にさらされ、心ない中傷や仕打ちを受け続けたといいます。
 しかし、お父様は屈することなく、平和の信念をいやまして高く掲げていかれた。キリスト教平和主義協会の機関誌の編集長として、広島と長崎に投下された原子爆弾の悪魔的な破壊力を何よりも問題視し、核兵器反対の論陣を張り続けた。
 そして、米ソの核開発競争が激化し、水爆実験がもたらす被害が深刻化する中で、核実験の反対運動にも勇敢に身を投じられたのであります。

〈平和の道を築く正しき想像力を〉
 一、博士がお父様と一緒に反対運動に参加したのは、10歳の頃でした。(1946年生まれ)
 その記憶が鮮烈で、お父様に続くべく、10代半ばから「青年核軍縮キャンペーン」の活動に取り組むようになったと、語っておられました。
 当時、核政策に疑問を呈すると、それだけで愛国心に欠けていると見なされる風潮が根強く、核兵器反対の運動に立ち上がる人たちは、いまだ少数派で、熱心な活動家は保安当局の監視下に置かれることを余儀なくされたといいます。
 しかし、博士の心が揺らぐことはなかった。「社会が当然だと思っていることを、そのまま安易に受け止めてはならない。想像力をふくらませたとき、変革するための道は必ずある――そのことを、父が身をもって教えてくれた」と、博士は感謝の思いと誇りを込めて述懐されていました。
 一、広島、長崎、沖縄の青年部の皆さんの中にも、クレメンツ博士と同じく、お父様やお母様の平和を求める深い思いを胸に、また祖父や祖母の世代の方々が味わわれた悲惨な戦争体験に根差した教訓を受け継いで、「戦争と核兵器のない世界」を築くために立ち上がった後継の旗手が、大勢いると思います。
 そして何より、私たちには、戸田先生が遺訓の第一として発表された「原水爆禁止宣言」という、永遠に継承していくべき原点があります。
 戸田先生は「核あるいは原子爆弾の実験禁止運動が、今、世界に起こっている」と、クレメンツ博士のお父様をはじめ、世界の心ある人々が参加した禁止運動への連帯の思いを示しつつ、核兵器の問題の「その奥に隠されているところの爪をもぎ取りたい」と師子吼されました。
 “生命尊厳の思想を根幹とする我ら仏法者は、どんな理由があろうとも、核兵器の使用は断じて許してはならない”と強調し、その廃絶を訴えたのであります。

《平和学者のクレメンツ博士――変革への道は必ずある》
〈友情の連帯で新時代へ出発!〉
 一、時を経て今、核兵器の非人道性に基づき、いかなる状況下においても核兵器は二度と使用されてはならず、そのためには全面廃棄を進めるしかないとの共通認識が、国際社会で高まりをみせています。
 昨年5月にスイスやノルウェーなど16カ国が共同声明を発表して以来、昨年10月には賛同の輪が35カ国となり、今年4月には80カ国にまで広がりました。「原水爆禁止宣言」を貫く精神が、時代変革を促す潮流となって、いよいよ大きく水嵩(みずかさ)を増しているのです。
 クレメンツ博士は以前、「21世紀に生きる我々が直面する課題は、核問題に対し宗教的また人道的見地から反対を訴え続けてきた歴史的な運動に再び連なり、核廃絶に向けて“最後の一押し”をすることである」と呼びかけられました。
 私は、まさに今こそ正念場であると、声を大にして訴えたい。
 そして、この“最後の一押し”を行ううえで、かけがえのない使命を担ってくれているのが、私が心の底から信頼する青年部の皆さん方である。
 皆さんが同じ世代の友人たちと共に育んできた「平和を求め抜く友情の連帯」にこそ、新しい時代の扉を開くための不屈のパワーが宿っている、と申し上げたいのです。
 一、クレメンツ博士も、連載対談の開始にあたって、創価学会青年部による平和運動の意義を最大に讃えつつ、次のような言葉を寄せてくださいました。「私には、核兵器は必ず廃絶される、それは現在の青年部の世代によって実現されるという確信があります」と。
 広島、長崎、沖縄の青年部の皆さんは、どうか、この世界の良識からの絶対の信望を何よりの励みとし、無上の誉れとしながら、共に誓い合った2015年に向けて対話の波動を、さらに大きく広げてください。
 不戦と非核の精神を、21世紀の柱に据えゆくための不屈の挑戦を、強く賢く朗らかに、一日また一日、重ねていっていただきたいと、心より念願するものです。
 広島、長崎、沖縄の青年部、万歳!
 師の遺命を、私と共に果たしゆこう!
   (聖教新聞 2013-08-04)