人を励ますとき、最も大切なのは当事者の気持ち

2014年1月12日(日)更新:3
【名字の言】
 東日本大震災で家族を失った子どもたちに、「心のケア」を続ける団体の催しで、長く孤児・遺児支援を続ける米国のNGO(非政府組織)代表の講演を聴いた▼戦争や災害などで、家族を失った子どもたちに寄り添い続けた膨大な経験に基づく話は、示唆に富んでいた。代表は、大震災以降、何度も来日し、被災地支援を続ける。こう語っていた。「もうすぐ3年がたちます。周囲からの『いつまでも後ろを見ずに、前を向いて』という励ましは、ときとして被災者に大きなダメージを与えることになります」。なぜか?▼「被災者は、ずっと前を見てきたんです。何月何日までに、避難所を出てください。何月何日までに、仮設住宅の手続きをしてください。ある意味、前ばかり見てきた3年間。ゆっくり振り返る時間が必要な方もいるのではないでしょうか」▼人を励ますとき、最も大切なのは当事者の気持ちだろう。それを知るためには、まず「聴くこと」。時には、つらくて話したくないこともある。その時は「待つこと」。代表が語っていた。「あくまで人を信じること。どんなつらい目にあっても、人には、いつかは克服する力があると信じることです」▼信じ合い、見守り支え合う。そこに必ず、春は来る。(哉)
   (聖教新聞 2014-01-11)