世間にはもっとおおくのほむべき婦人たちがいる

2014年2月14日(金)更新:1
【名字の言】
 戸田城聖第2代会長は生前、大衆作家・山本周五郎の作品を愛読した。池田名誉会長も、たびたび、味わい深い彼の箴言を青年たちに贈っている。きょう2月14日は彼の祥月命日。没後47年に当たる(1967年逝去)▼短編集『小説 日本婦道(ふどう)記』は、昭和18年上期の直木賞に推されながら、受賞を固辞した作品。収録作「松の花」は、紀州徳川家の年寄役が、妻の死後、それまで気付かなかった”内助の功”を思い知り、深い感慨を覚えるという物語だ▼藩の記録として女性の伝記編さんを担う主人公が、最後に、こうつぶやく。「世間にはもっとおおくの頌(ほ)むべき婦人たちがいる、その人々は誰にも知られず、それとかたちに遺ることもしないが、柱を支える土台石のように、いつも蔭にかくれて終ることのない努力に生涯をささげている」▼この言葉に、広宣流布の活動を支える婦人部の尊き姿を重ねずにはいられない。いな、婦人に限らず、黙々と陰の戦いに徹する壮年も、青年も、そして、家人の留守を守る人たちも、たたえられるべき方々であると思う▼日の当たらない場所で、人知れず苦労を重ねる”一人”の存在を絶対に忘れてはならない!――周五郎の思いは、私たちの創価の精神とも響き合う。(億)

   (聖教新聞 2014-02-14)