人の役に立ち、人に喜んでもらう。そこに心の充実も生まれる

2013年4月7日(日)更新:4
【名字の言】
 宿泊客が求めていることを、求められる前に提供する――。石川県の、ある老舗旅館における「おもてなし」の定義だ。この「おもてなし」実現のため、客室係が接客に集中できる環境づくりが行われている▼サービスの世界大会で審査員を務めた下野隆祥氏は、著書『世界一のサービス』で、サービスの根源には「お客さまに対する『歓迎や感謝』の気持ち」がなければならないと強調する。相手の気持ちになって考え、その要望の一歩先をいく――これこそ日本人が育んできた「おもてなしの心」にほかならない▼接客業の中にはマニュアルで対応するところも少なくない。一定以上の、均質なサービスを提供するためである。しかし、マニュアルばかりに頼ると、目の前の顧客が見えなくなり、サービスが悪いと受け取られるケースもある▼価値観が多様化する現代にあって、相手の望むことに気付くのは難しい。人の気持ちを推し量るには、マニュアルに頼らず、人と会い、会話する機会を増やし、自分を磨くことが大切だ▼人の役に立ち、人に喜んでもらう。そこに心の充実も生まれる。仕事にとどまらず、これは人生の鉄則だろう。自他共の幸福を目指す日々の学会活動には、最高の人生修行が含まれている。(共)
   (聖教新聞 2013-04-07)