サイコパスの特徴

《口達者で皮相的》
サイコパスはウィットに富み、明快な発言をする。愉快で、人を楽しませる会話もでき、機転のきいた賢い受け答えを用意していて、さらには説得力のある話で自分をすばらしい人間に見せることができる。彼らは自分の存在感を非常に効果的に演出することができ、ときにとても愛想がよくてチャーミングだ。

《自己中心的で傲慢》
サイコパスはナルシスティックで、自分の価値や重要性に関してひどく慢心したものの見方をする。まったく驚くべき自己中心性と権利感覚の持ち主だ。彼らは、自分が宇宙の中心にいると思っていて、己のルールに従って生きることが許されている優秀な人間だと思っている。サイコパスは尊大で恥知らずの傲慢な者であることが多い。自己満足にひたり、頑固で、横柄で、うぬぼれる。彼らは他人に対して力をもちたがり、他人を支配したがる。

《良心の呵責や罪悪感の欠如》
サイコパスは、自分の行動が他人にたいへんな迷惑をかけているという認識を驚くほど欠いている。自分には罪悪感などなく、苦痛や破壊を引き起こしたことをすまないという気持ちをもてず、そういう気持ちをもつ理由もなにひとつないと冷静にいう。サイコパスは良心の呵責をたまに口にすることもあるが、その言葉と、実際の行動はまったく裏腹なものだ。サイコパスは自分を「被害者」と見ていることがよくある。

《共感能力の欠如》
サイコパスの特徴の多く、たとえば彼らの自己中心性、良心の呵責の欠如、浅い感情、ごまかすことのうまさは、根深い共感能力の欠如と密接な関係がある。つまり彼らは、他人の考えていることや感じていることをうまくなぞれない。ある点において、彼らはSFに描かれる感情のない人造人間のようなもので、ほんものの人間が体験することを想像できない。サイコパスは、自分が満足感を味わうために利用するものとしてしか、他者をみない。配偶者や子どもたちとの結びつきを維持していても、それは家族をステレオや自動車と同じで、自分の所有物として見ているからにすぎない。

《ずるく、ごまかしがうまい》
嘘つきで、ずるく、ごまかしがうまいのは、サイコパスの生まれもった才能といえる。彼らは人の弱みを見抜くことにたいへんたけていて、それを自分のために利用することが非常にうまい。友人も敵も同じように欺くことは、サイコパスにとって簡単なことだ。詐欺、横領、他人になりすますこと、インチキな株や値打ちのない土地を売りつけることなど朝飯前で、大なり小なりあらゆる詐欺行為を働く。

《浅い感情》
サイコパスは言葉は知っているが、その響きを知らない。言葉としての感情や、本で読んだ感情や、自分の貧しい想像力をとおしての感情は知っていて、自分がそういう感情をもつことは想像できるが、実際には感じていない。生体臨床医学の記録機を使って研究室で実験してみると、サイコパスは恐怖に対する正常な生理的反応に欠けていることがわかる。彼らはたんに浮かれ気分で何かをやり、あとでどうなるかはたぶんわかっているのだろうが、ほとんど気にもとめない。彼らにとって、恐怖は、ほとんど知識として知っているだけで、生理的苦痛を伴うものではない。

《衝動的》
サイコパスは行動を起こすことの是非を考えたり、その結果に思いをめぐらしたりすることにあまり時間を割かない。サイコパスは自分の欲求しか頭にない幼児のようなものである。サイコパスはその日暮らしをして、概して自分がいままでの人生でほとんど何もしてこなかったことを悔やむこともない。

《行動をコントロールすることが苦手》
衝動的であることのほかに、サイコパスは屈辱的な言葉や無礼な態度に過剰に反応する。サイコパスは抑制心が乏しく、ほんのちょっとした刺激にも抑制がきかない。その結果、短気で、癇癪(かんしゃく)もちで、欲求不満や失敗や責めや批判に対し、突如、暴力や脅しや、悪口雑言で反応する。サイコパスは容易に攻撃的な態度に出るが、自制心を失って行動に出るわけではない。それどころか、サイコパスがかんかんに怒ったときは、癇癪を起こしたように見えても、自分が何をしているのかちゃんとわかっている。

《興奮がないとやっていけない》
サイコパスは、継続的で過度な興奮を求めている。彼らは、つねに刺激的な活動が行われている「追い越し車線」や「崖っぷち」にいたいと思っている。そして、多くの場合、その活動にはルールを破ることが含まれている。安直に興奮を求めるのは、きまりきった日常や単調さに耐える能力に欠けているからだ。

《責任感の欠如》
サイコパスの無責任さや信頼のおけなさは、彼らの生活のいろいろなところにまで浸透している。会社の方針に反することをし、なにをやらせても信用がおけない。彼らは他人や組織や原則というものを意に介さず、きちんときめられた、あるいは当然了解されているはずの責任に敬意を払わない。
(『サイコパスの犯罪 元弁護士 山崎正友の心の闇』 中田光彦 潮出版社)